「掃除屋を入れたのにコケが全然減らない」という相談を受けると、9割以上のケースで導入数が少なすぎるか、種類の選び方が間違っている。
海水水槽のコケに悩んでいる気持ちはよくわかる。マガキガイとシッタカ貝はどちらも定番クリーナーだが、活動する場所と食べるコケの種類がまったく違う。この記事では2種類の役割の違いを整理したうえで、60cm水槽を基準にした具体的な導入数、実際の効果、失敗しないための注意点を説明する。
マガキガイとシッタカ貝、何が違うのか
マガキガイ(学名:Strombus lentiginosus)は砂底専門の掃除屋だ。細長い足を使って底砂をかき混ぜながら移動し、砂の表面に積もったシアノバクテリア(赤いスライム状のコケ)やデトリタスを食べる。砂をかき混ぜる副次効果として、底床の嫌気層形成を抑えてくれる点も地味に重要だ。
シッタカ貝(主に Trochus niloticus やTurbo属)はライブロックとガラス面の担当だ。コニーデ型の殻でライブロックを這い回り、緑藻や茶ゴケを削り取る。ガラス面に張り付いてゴシゴシと動く姿はクリーニングしているのがひと目でわかる。
まとめると:
| 種類 | 活動エリア | 得意なコケ |
|---|---|---|
| マガキガイ | 砂底 | シアノバクテリア、デトリタス |
| シッタカ貝 | ライブロック・ガラス面 | 茶ゴケ、緑藻 |
どちらか一方だけ入れても、掃除できる範囲が半分になる。2種類をセットで使うのが正解だ。
コケの根本原因(栄養塩の蓄積や光量過多など)を知りたい場合は、海水魚水槽のコケ対策:原因と効果的な除去方法も合わせて確認してほしい。
導入数の目安:60cm水槽を基準に
よくある失敗が「とりあえず2〜3匹いれてみた」というケースだ。これでは効果が出ない。
60cm規格水槽(約57L)での目安:
– マガキガイ:3〜5匹
– シッタカ貝:5〜8匹
コケが多い立ち上げ初期は上限に近い数を入れるほうが早く効果が出る。水槽が安定して維持目的なら下限でも十分だ。
注意したいのは、過密に入れるとエサ(コケ)が不足して餓死するリスクがあること。コケが減ってきたら、乾燥昆布(食用のものでOK)を小さく切って底砂に置くとマガキガイが集まってくる。実際に試してみたら5匹全員が集まってきたので、補助エサとして効果は本物だ。
立ち上げ直後に入れるのはNG
生体を入れるのは水槽のサイクリングが完了してから。海水水槽の立ち上げ手順でバクテリアが定着したことを確認してから導入しよう。アンモニアが残っている状態に貝を入れると、あっという間に死ぬ。
購入・水合わせ・導入時の注意点
水合わせは点滴法で30〜60分
貝類は魚より比重と水温の変化に敏感だ。袋のまま水槽に浮かせて15分温度合わせ→点滴法で30〜60分かけてゆっくり水合わせするのが安全。焦って省略すると翌日に死んでいることがある。
シッタカ貝が裏返ったら即起こす
Turbo属のシッタカ貝は裏返ると自力で戻れないことが多い。そのまま放置すると1日以内に死ぬ。見つけたらすぐに手で起こす。Trochus属はコマ型の形状のおかげで自力で戻りやすく、この点では扱いやすい。初心者にはTrochus属のほうがおすすめだ。
高水温には特に注意
シッタカ貝(Turbo属)は28℃以上が続くと弱る。夏場はクーラーか冷却ファンで25〜26℃をキープしたい。マガキガイのほうが高水温耐性はやや高いが、28℃超えは避けたほうがいい。
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実際の効果と正直な評価
マガキガイの効果:砂底のシアノバクテリア対策としては優秀で、3〜5匹入れると1週間ほどで砂の表面が目に見えてきれいになる。ただし岩やガラスのコケは一切食べない。「砂が汚い」という悩みにはほぼ確実に効く。
シッタカ貝の効果:ライブロックの茶ゴケ・緑藻の除去は早い。5〜8匹入れると3〜5日でライブロックの色が変わるのがわかる。正直、ガラス面の掃除は得意不得意がある個体もいて、完璧ではない。ガラス面はマガキガイやカエルウオを補助に使うと効果が上がる。
ライブロックの組み方を工夫して、貝が這いやすい動線を作ってやると清掃範囲が広がる。密集した組み方だと貝が入り込めない死角ができるので注意だ。
相性の良いクリーナークルーの組み合わせ
マガキガイとシッタカ貝だけで完全な掃除体制にはならない。以下を追加すると守備範囲が広がる:
- スカーレットハーミット(ヤドカリ):ライブロックの隙間やデトリタスを掃除。10〜15匹で60cm水槽をカバー
- カエルウオ・ギンポ類:糸状藻や緑藻を積極的に食べる。1〜2匹で十分な効果
- キイロハギ・シリキルリスズメ:中層〜上層の残餌処理に
組み合わせの詳細は海水魚水槽のコケ対策:原因と効果的な除去方法を参考にしてほしい。
まとめ:まず8匹セットから試してみる
マガキガイとシッタカ貝は役割が明確に分かれている。砂底はマガキガイ、ライブロック・ガラス面はシッタカ貝という分担を意識して、60cm水槽なら合計8〜13匹を目安に導入するとコケの発生を大きく抑えられる。
導入前には水質検査のやり方:必要な測定項目と検査キットの選び方で比重・アンモニア・亜硝酸を確認しておくこと。この一手間で生体の生存率が大きく変わる。
まず試すならマガキガイ3匹+シッタカ貝5匹の8匹セットから始めてみてほしい。
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